瓦礫や土砂の生き埋めになった行方不明者を発見する災害救助犬。広く知られた存在と思われがちですが、国内での認知度はまだ低く、運用には様々な課題があります。 災害救助犬の歴史を紐解くと、古くは17世紀末~18世紀初頭にスイス・アルプス峠の修道院で飼われていた犬が行方不明登山者の救助に役立てられたのが始まりとされます。スイスは、軍が訓練のために軍用地を提供する等、災害救助犬の運用が先進国です。 一方、日本で災害救助犬の育成がはじめられたのは平成7年。阪神・淡路大震災が契機となりました。当時、海外から複数の救助チームが駆けつけましたが、それまで活動実績のなかった日本では連携がスムーズにいかず、多くの課題を残しました。日本レスキュー協会は、そうした教訓を踏まえ、同年9月1日に誕生しました。 尊い命を守るため、「災害救助犬が人命捜索の一つの手段として有効に運用される社会」を目指し、救助犬および人材の育成、消防などの公的機関や他団体との連携訓練、セミナー開催、救助犬試験など様々な視点に立ち活動しています。 こうした活動を通して、全国各地の自治体と出動に関する協定を締結してきました。2021年7月に静岡県熱海市で起きた土砂災害では発災翌日から捜索に加わり、行政との調整窓口を担うとともに20日間で延べ50団体143名107頭を現地に派遣しました。 また、「犬と共に社会に貢献する」という理念に基づいて、高齢者をはじめ、障がいを持つ方や病気の治療を必要とする方の心と体のケアを補助する役割を担う「セラピードッグ育成・派遣活動」、飼育放棄されたり殺処分されたりする犬猫を救う「動物福祉活動」も行っています。 2018年には、「Wan for all. All for Wan.」プロジェクトを立ち上げ、約1万坪の敷地に日本最大級となる人と動物の共生拠点を佐賀県に構え、活動の場を広めています。 大規模な訓練拠点としてだけでなく、普段は一般の方の憩いの場や犬を取り巻く社会の多くを学ぶ場として開かれ、また有事の際は、行政やNPOを含む災害支援のネットワーク等と協働し、「ペットとの同行・同伴避難」を含めた多角的な支援が可能な災害支援拠点にもなります。 こうした活動を通して、人と動物と地域を繋ぎ、より豊かで安心安全な社会を目指し活動してまいります。
- 組織名
- 認定NPO法人 日本レスキュー協会
- 組織形態
- 認定特定非営利活動法人
- 設立
- 1995年9月1日
- 代表者
- 吉永 和正
- 運営人数
- 6〜20名
- ウェブサイト
- https://www.japan-rescue.com
- 郵便番号
- 664-0832
- 主な収入源
- 寄付